女性の抜け毛に多い病気は甲状腺機能のトラブルだった!?症状や対処法は?

女性の抜け毛に多い病気は甲状腺機能のトラブルだった!?

抜け毛の原因には生活習慣の乱れや、頭皮のトラブル、女性ホルモンバランスの乱れなどがありますが、実は甲状腺機能のトラブルによっても、抜け毛が多くなることがあります。

甲状腺の疾患は女性に多く、その中でも有名なのがバセドウ病(甲状腺機能亢進症)橋本病、そして甲状腺機能低下症です。

今回は、これらの疾患と抜け毛の関連性について、症状のチェック法等も交えながらご紹介していきます。

こんな女性の抜け毛は要注意!

女性の抜け毛の原因は、老化や出産によるホルモンバランスの乱れ、不摂生、間違ったヘアケア、ストレスなどが挙げられます。

ただし、抜け毛は1日100本程度なら自然なことであり、心配ありません。

それでも「急激に抜け毛が増えた」「体調不良を伴う抜け毛」には注意が必要です。

そこには、甲状腺トラブルが潜んでいる可能性があるのです。

甲状腺機能のトラブル

甲状腺機能のトラブル

甲状腺は蝶々の様な形をしている臓器で、喉仏の下側に位置しています。

約3~4cmの大きさで、約15~20gの小さな臓器ですが、脳からの指令を受け甲状腺ホルモンを分泌し、私たちが生きていくための重要な役割を担っています。

甲状腺から分泌される甲状腺ホルモンは、主に海藻に含まれているヨウ素を元に作られます。

そして、血液の流れに乗って全身に運ばれ、体全体に回り、体の健康を維持してくれるのです。

この甲状腺機能にトラブルがあると、バセドウ病や橋本病を患ってしまい、女性の抜け毛を引き起こしてしまうのです。

では、バセドウ病と橋本病とは一体どんな病気なのでしょうか?

次の章からは、それぞれの原因や症状、どうして抜け毛に繋がるのかを詳しく説明していきます。

バセドウ病の原因

バセドウ病の発症は、体をまもる免疫システムの異常が関係しています。

免疫はウィルスや細菌などの外敵に対する“抗体”を作ることによって体を守る大切な仕組みです。
しかし、外敵ではなく自分自身の体を攻撃する抗体(自己抗体)が作られてしまうと、それによって病気が引き起こされることがあります。
これが「自己免疫疾患」であり、バセドウ病もそのひとつです。

なぜこのような抗体ができるのかはまだ解明されていません。
バセドウ病では、自己抗体(TRAb、TSAb)が甲状腺を刺激することにより甲状腺ホルモンを過剰に産生します。
出典:伊藤病院「バセドウ病と自己免疫」より引用

つまり、バセドウ病(甲状腺機能亢進症)の原因は、甲状腺ホルモンの過剰分泌なのです。

血中の甲状腺ホルモンを一定に保っているのが、脳の下垂体から分泌される甲状腺刺激ホルモン(TSH)ですが、脳下垂体から命令が無くても常に刺激され、甲状腺ホルモンを作りすぎる病気なのです。

甲状腺ホルモンには、新陳代謝や体温調節、体の発育などの役割があります。
これが過剰になるということは、新陳代謝が活発になりすぎてしまい、体調に異常をきたします。

バセドウ病で抜け毛が増える理由

ではなぜ、バセドウ病で抜け毛が増えるのでしょうか?

バセドウ病により甲状腺ホルモンが過剰に分泌されると、新陳代謝が異常に活性化します。

そのため、毛周期(ヘアサイクル)に影響を及ぼし、髪がしっかり育つ前に抜けてしまうのです。

バセドウ病が原因の抜け毛は、抜け毛が多い時期と少ない時期が交互に繰り返される場合もあります。

さらに、突然大量に毛が抜けてしまう事もあります。

このような抜け毛ある女性は、バセドウ病を疑ってみたほうがよいでしょう。

橋本病の原因

橋本病は甲状腺に慢性の炎症が起きている病気であり、慢性甲状腺炎ともいいます。
橋本病は甲状腺の病気のなかでもとくに女性の割合が多く、男女比は約1対20~30程度と言われています。
年齢別では20歳代後半以降、とくに30~40歳代が多く、幼児や学童はまれです。
橋本病の原因は自己免疫の異常です。
しかし、自己免疫の異常がどのようなきっかけで起こるのか、いまだに明らかになっていません。
自己免疫異常による炎症により甲状腺がはれたり、甲状腺機能異常を起こすことがあります。
出典:伊藤病院「橋本病とは」より引用

橋本病もバセドウ病にように、外敵から身を守るための反応が自分に向いて、自分を攻撃してしまっている自己免疫疾患です。

しかし、バセドウ病が甲状腺ホルモンの過剰分泌なら、橋本病は甲状腺ホルモンの低下によって引き起こされる病気です。

下垂体の甲状腺刺激ホルモン分泌が阻害され、甲状腺への刺激が無くなり、甲状腺ホルモンの分泌が低下するのです。

新陳代謝を司る甲状腺ホルモンが低下するということは、新陳代謝を低下させ、体のあらゆる機能を低下させることになるのです。

甲状腺機能低下症

橋本病の4~5人に1人が発症すると言われているのが、「甲状腺機能低下症」です。

甲状腺機能低下症とは、甲状腺ホルモンが少なくなることです。

患者の割合は女性に多く、男性1に対して女性は3です。

甲状腺ホルモンが少なくなると、大切な臓器に先に栄養が送られるため、髪の毛の成長のための栄養が減って抜け毛が増えます。

他にも、顔や手のむくみ、食べていないのに太る、寒がったり、便秘がちになります。

ただ、甲状腺機能低下症になるのは先述の通り4~5人に1人のため、かかっていても気づかないケースが目立ちます。

もし、抜け毛の他にも症状があるようなら、病院での検査をおすすめします。

甲状腺機能低下症の抜け毛は、治療によってほぼ完治すると言われています。

橋本病で抜け毛が増える理由

甲状腺ホルモンは細胞の活性化をしますが、これが少なくなっていると育毛をしてくれる毛母細胞の機能が低下します。

そうすると必然的に、髪の毛を作る力が弱まり、抜け毛が引き起こされるのです。

バセドウ病・橋本病の女性発症率

バセドウ病や橋本病といった甲状腺トラブルは、男性よりも女性に多いと言われていますが、実際にどれ位の割合で発症するものなのでしょうか。
ここでは、その具体的なデータを元に紹介します。

バセドウ病

女性に多い病気であり、男女の比率は男性1人に対して女性5~6人程度です。
甲状腺の病気のなかでは比較的男性の比率が高い病気です。

20~50歳代の方に発症することが多く、中でも30~40歳代の方の発症が最も多く認められます。

バセドウ病伊藤病院

出典:伊藤病院「性別・年齢分布」より引用

橋本病

橋本病は特に女性の比率が高く、患者の94%を占める。
20~30人に1人の女性がこの病気を持つ。
ただ、甲状腺ホルモンが不足し治療が必要なのは約3分の1にとどまる。

出典:日経スタイルヘルスUP「女性に多い病気、甲状腺疾患 免疫機能損ね自己攻撃」より引用

こうしてみると、これらの甲状腺疾患の発症率は圧倒的に女性が多い事が分かります。
特に橋本病は、ほぼ女性というデータが示す通り、何も特別なものではなく、女性ならばとても身近に潜んでいる病気と言えるでしょう。

抜け毛と一緒にこんな症状がある人は注意!

女性の抜け毛は、ただの頭皮環境のせいだけではなく、その影に病気が潜んでいる恐れがあります。

ここでは、バセドウ病や橋本病の症状を見ていきます。

もし、抜け毛と同時にこのような症状がある人は、注意してください。

症状をチェックしてみましょう

バセドウ病の症状

新陳代謝を活発にする甲状腺ホルモンが過剰に分泌されると、次のような症状が出ます。

☑甲状腺肥大
甲状腺が肥大して喉仏の下側が腫れあがります。

☑眼球突出
眼球を動かす外眼筋が厚くなり、目の奥の脂肪が増えて、押し出される形になります。
また、ものや景色が2重に見えたり、目の周囲が腫れてきます。

☑頻脈
少しの運動でも動悸や息切れがするため、何もしていなくても脈が速くなったり、不規則になります。
また、血流異常で低カリウム血症も起こります。

☑消化器異常
腸の働きが活性化しすぎて下痢気味や軟便になります。
また、食欲が旺盛になりますが、エネルギー消費が早くなるので体重が減ります。
逆に太る場合もありますが、個人によって異なります。

☑心の問題
イライラしたり、注意力散漫になったり、寝つきが悪くなります。
のぼせやほてり、手足の震え、大量の発汗もあり、まるで更年期障害のような症状が出ます。

その他、筋肉の増加・減少、低カリウム血症による周期性四肢麻痺、38℃以上の高熱が出る場合もあります。
抜け毛と一緒にこんな症状がある人は、バセドウ病の注意が必要です。

橋本病の症状

新陳代謝を低下させる橋本病には、以下のような症状が現れます。

☑首が腫れる
甲状腺が肥大して喉仏の下側が腫れあがります。
のどに違和感が出ます。

☑寒がり
新陳代謝が低下するので、熱の生産が減って寒がりになります。

☑食欲がないのに太る
胃腸の調子が悪くなり食欲が減少しますが、新陳代謝が低下するので体がむくみ、体重が増加します。
また、便秘になります。

☑肌が乾燥する
新陳代謝の低下により、皮膚が乾燥します。
また乾燥により、かゆみを感じます。

☑昼間も眠い
体がだるくなり、よく居眠りをします。
また、やる気が出なくなり、忘れっぽくなります。
体が重く感じ、活動的ではなくなります。
口のもつれや、しゃべり方がゆっくりになるケースもあります。

☑月経異常
月経の期間が長くなり、月経の量が多くなります。

その他、脈が遅くなったり、不妊や流産の可能性も高くなります。
抜け毛と一緒にこんな症状がある人は、橋本病の注意が必要です。

甲状腺の疑いがある時に受診するべき病院

甲状腺トラブルは何科を受診したらいいの?

上記のような症状のある方は、甲状腺治療を専門にしている病院を受診しましょう。

総合病院であれば、甲状腺外来内分泌外来が、甲状腺治療を取り扱っています。

また、甲状腺機能の病気は、寛解(かんかい)を目指すため何度も通う必要があり、症状が再発(再燃とも呼びます)する可能性もあります。

よって甲状腺機能障害の早期発見のために、半年に1度、または1年に1度の割合で定期的に病院へチェックしに行くことが重要です。

その為、自分が通いやすい距離にある病院を選ぶ事も重要になってきます。

(※寛解(かんかい):全治とまでは言えないが、病状が治まっておだやかであること)

バセドウ病と橋本病の検査・治療方法

検査と治療方法

甲状腺の病気の検査方法には以下の方法があります。

【血液検査】
ホルモンの分泌量を調べる

【生体組織診断】
甲状腺組織を切り取り、顕微鏡で調べる

【放射線検査】
CT、RI、MRI、レントゲン撮影、血管造影などから、視覚的に異常がないかを調べる

これらの検査方法で、甲状腺の異常を発見します。

また、甲状腺の病気の治療法には次のような方法があります。

バセドウ病の治療法

バセドウ病は症状に合わせ、次の投薬・アイソトープ・手術といった治療が施されます。

【投薬】
甲状腺ホルモンの合成を抑える薬を服用
【アイソトープ治療】
放射性ヨウ素カプセルを飲み、それから出る放射線で甲状腺細胞を破壊、過剰分泌されるホルモンの量を減らす
【手術】
甲状腺組織を切除する

橋本病の治療法

橋本病は、甲状腺機能が正常なら治療は必要ありません。
ただし、将来ホルモンが低下する可能性があるので、3~6カ月に1度、診察を受けましょう。

【甲状腺ホルモン服用(首が腫れる人)】
ホルモン剤を服用して様子を見るが、大きくなり過ぎたら手術の可能性あり
【補充療法(甲状腺機能低下症)】
低下しているホルモンを補充する

まとめ

抜け毛と甲状腺ホルモンまとめ

このように、女性の抜け毛の原因は甲状腺疾患から起きる場合があります。

見分け方のポイントとして、抜け毛だけでなく本記事内で挙げたように体調が著しく変化・悪化しているならば、バセドウ病や橋本病の可能性があります。

そして、これらの疾患が原因であるなら女性の抜け毛は治療によって必ず改善します。

頭皮環境を改善しても治らない、バセドウ病や橋本病と疑われるような症状が出ている場合は、すぐに専門の医療機関を受診することをおすすめします。